目次
はじめに
今回はアグリゲーションについて考えてみます。
近年、再生可能エネルギーの普及が進む中で、電力系統の安定性維持が大きな課題となっています。
この課題に対する革新的な解決策として注目を集めているのが「アグリゲーションビジネス」です。以下では、アグリゲーションビジネスの基本的な概念から、再生可能エネルギーとの関係、規制の動向、電力系統安定化への貢献まで、できるだけまとめて説明してみます。
読者としては、アグリゲーションビジネスについてあまり馴染みがない方を想定しています。
このため、すでにアグリゲーションビジネスに関与されている方にとっては物足りないかもしれませんが、ご容赦下さいませ。
アグリゲーションビジネスとは
アグリゲーションビジネスとは、分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resources、DER)を束ね、統合的に管理・制御するビジネスモデルです。
アグリゲーション(Aggrigation)は「集合」といった意味で、要するに集める、とか、まとめる、という趣旨です。
いつも拝見している環境ビジネスさんの記事「電力は『賢く』使う時代に ― 市場拡大するアグリゲーションサービス」の中にビジネスの基本的な仕組みに関する図がありましたので引用させていただきます。
DERには、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー源、蓄電池、電気自動車(EV)、さらには需要家の節電能力(デマンドレスポンス)などが含まれます。
このビジネスの中心的な役割を担うのが「アグリゲーター」です。
アグリゲーターは、IoT(モノのインターネット)やAI技術を駆使して、多数の小規模なエネルギーリソースを仮想的に一つの大きな発電所のように機能させます。
これをバーチャルパワープラント(Virtual Power Plant)と呼びます。
アグリゲーションビジネスはまた、防災や災害時対応にも寄与します。DERを活用することで停電時の早期復旧や地域間での電力融通が可能となり、レジリエンス向上にも貢献することになります。
再生可能エネルギーとアグリゲーションビジネスの関係
再生可能エネルギー、特に太陽光や風力は、その出力が時間帯や天候など外部要因に左右されるため、不安定性の克服が不可避の課題となります。
この課題を克服するためにアグリゲーション技術が重要な役割を果たします。
具体的には、複数の再生可能エネルギー源を束ねて(まさにアグリゲーション)統合管理することで、個々の変動を相殺し、全体として安定した供給が可能になります。
例えば、日本国内では太陽光発電と風力発電を組み合わせることで地域間での天候変動リスクを低減し、発電量予測精度向上やインバランス低減効果が確認されています。
また、高度なAI技術による予測モデルは48時間先までの発電量予測誤差を3%以内に抑えることができると報告されています。
アグリゲーションビジネスを取り巻く規制の動向
日本では経済産業省が「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ ビジネスに関するガイドライン」を策定し、市場形成と事業者参入促進を支援しています。
このガイドラインでは、小売事業者や需要家との情報共有ルール整備や需給調整市場への参加条件などが明確化されています。
さらに、省エネ法改正によるデマンドレスポンス実施報告義務化や低圧需要家向けDRready制度など、新たな規制も導入されています。
これらは家庭用蓄電池やEVなど小規模リソース活用を促進し、分散型エネルギー市場拡大につながっていくことが予想されます。
アグリゲーションビジネスによる電力系統安定化への貢献
アグリゲーションに期待される大きな役割が、電力系統の安定化です。
一口に電力系統の安定化に寄与する、といっても、どのような形で寄与するのか、いくつかの切り口がありますので、以下説明します。
需給調整メカニズム
アグリゲーターは分散型エネルギーリソースを統合制御し、需給バランス調整を効率化します。
例えば、大規模な再生可能エネルギー設備と蓄電池群を組み合わせることで、需給調整市場で高い調整力を提供することができます。
需給バランスを調整することにより系統を安定化させる、というのがアグリゲーションビジネスが持つ需給調整メカニズムといえます。
災害時レジリエンス
災害時にはEVや蓄電池から重要施設への緊急給電が可能となり、防災面でも大きく寄与しています。
東京電力管内では停電時72時間連続給電システムが実証されました。
災害時に送電が可能な範囲の中で電力を賄う仕組みを整えることができる、という面で、アグリゲーションビジネスは系統の安定化に寄与することになります。
まとめ
アグリゲーションビジネスについて簡単に説明してきました。
アグリゲーションビジネスは、再生可能エネルギー普及拡大と系統安定化という二つの課題解決において不可欠な存在といえます。
規制環境整備や技術革新により、その役割はさらに拡大していくものと思われます。
一方で、アグリゲーションがIOTやAIといったものの結晶である側面もあることから、サイバーセキュリティなど新たな課題にも取り組む必要があります。
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