コーヒーかすのリサイクル – ESGやSDGsの視点から見る取組み

ESG

はじめに

今回はコーヒーを取り上げてみます。
制度の説明などではないので、ゆるく読んでいただけるはずです。
カフェでコーヒーを飲むのが好き、テイクアウトするのが好きという方も多いと思います。
私は家でコーヒーを淹れたあと、出し殻(コーヒーかす)を捨ててしまっていますが、近年、カフェ業界を中心に、コーヒーかすのリサイクルが注目を集めています。
毎日大量に排出され、そのほとんどがおそらくが焼却処分されているコーヒーかすですが、実はその有効活用には大きな可能性がありそうです。
以下ではESGやSDGsの観点から、コーヒーかすリサイクルの最新の取組みを取り上げてみたいと思います。

循環型フードシステムの構築実例

以下、3つの実例を紹介していきます。
調べるまで全く存じ上げなかったのですが、皆さんご存知のカフェも実はしっかりと取り組んでいるようです。

鹿児島堀口製茶のプロジェクト

鹿児島堀口製茶(鹿児島県志布志市)は、東京農業大学、堀口珈琲、ローカルフードサイクリングなどと連携し、コーヒーかすを堆肥化して農業生産に活用する循環型プロジェクトを始動しました。
プレスリリースはこちら。
もともとの今回の記事を投稿しようと考えたきっかけは、堀口製茶を取り上げた記事を読んだからです。
本プロジェクトでは、コーヒーかすを廃棄物として処理するのではなく、堆肥化することで土壌の肥沃度を高め、作物の収量や品質の向上を図っているとのことです。
また、焼却処理による温室効果ガス排出を抑制することで、地球環境への負荷軽減にも寄与するとのことです。
コーヒーかすを用いた堆肥は、窒素、リン、カリウムといった植物の成長に必要な栄養素を豊富に含んでいるようで、農業分野での利用が期待できそうです。

スターバックスの「コーヒー豆かすリサイクルループ」

皆さんご存知のスターバックスも同様の取組みをしています。
スターバックス コーヒー ジャパンは、コーヒー抽出後のかすをたい肥や飼料として再利用する「コーヒー豆かすリサイクルループ」を約800店舗に拡大しました。
この取組みでは、コーヒーかすを堆肥として地域の農家に提供し、そこで育てられた野菜や牛乳が再びスターバックスのフードやドリンクとして提供されるという、持続可能な循環型システムを構築しています。
また、森林再生プロジェクトにも参画し、地域コミュニティと協力して環境保全活動を推進しています。

コメダ珈琲の多彩なリサイクル活動

コメダ珈琲店では、年間に排出されるコーヒーかすの約98%を再利用しているとのことです。
コメダ珈琲店の取組みについてはこちらをご覧下さい。
コーヒーかすの主な活用方法として、堆肥化や牛の寝床の敷料としての利用があり、さらにコーヒーかすから染料を抽出してアパレル製品の染色に使用するなど、ユニークな取り組みも行われています。
2023年には、コーヒーかすを原料とした「珈琲クレヨン」や、野菜かすを使用した「おやさいクレヨン」の販売も開始したようです。
これらの製品は、環境に優しい素材を使用し、安全性にも配慮した設計となっています。
また、店舗の建材にもコーヒーかすを活用するなど、環境負荷の低減に積極的に取り組んでいます。

コーヒーかすの多様な利用方法

この記事を書くにあたり、コーヒーかすの利用方法をいろいろ調べてみましたが、実は様々な利用方法がありそうです。
上記で紹介した取組みと重なるところもありますが、いくつか紹介します。

園芸・農業への活用
コーヒーかすは堆肥化して土壌の栄養を高めたり、防虫・防草効果を期待したりと、農業・園芸分野で活躍しています。
また、コーヒーかすを活用した堆肥は、土壌の通気性や水はけを改善し、植物の根の成長を促進します。
特に、野菜や果物の栽培において、収量や品質の向上に大きく寄与します。

堆肥化の手順と効果
コーヒーかすは窒素、リン、カリウム、マグネシウム、銅などの栄養素を豊富に含んでおり、他の有機物と混ぜて堆肥化することで、土壌の有機物量を増加させ、構造改善や水分保持能力の向上、生物活性の促進に寄与します。
具体的な堆肥化の手順として、コーヒーかすと米ぬか、EM菌(乳酸菌、酵母、光合成細菌を含む)を混合し、適度な水分を加えて発酵させます。
推奨される割合は、コーヒーかす10リットル、米ぬか10リットル、EM菌7リットルなのだそうです。

発酵期間は約1ヶ月で、発酵中は適度にかき混ぜて酸素を供給することが重要とのことです。
完成した堆肥は、野菜や果物の栽培に活用でき、特に根菜類や葉物野菜の生育に使えるようで、加えて、微生物の活動を活性化させ、病害虫の抑制効果も期待できます。

注意点もあり、コーヒーかすは酸性度が高いため、使用量には注意が必要となるようです。
多量に使用すると土壌のpHバランスを崩す恐れがあるため、他の有機物(例:落ち葉や堆肥)と混ぜて適度な量を施用した方がいいようです。

家庭での活用
消臭剤や掃除用の研磨剤として、家庭でも簡単に再利用できるとのことです。
コーヒーくさくならないんでしょうか…?

美容・健康への活用
ボディスクラブやヘアケア製品として、天然素材を活かした活用法もあるようです。
粗挽きコーヒーだとさすがにボディスクラブとしては厳しそうですが、今度やってみたいと思っています。

食品への活用
コーヒーかすを使ったコールドブリューや、肉のマリネとしても利用され、食品業界でも注目されているようです。

まとめ

今回はコーヒーかすを取り上げ、各社の取組みを紹介しました。
コーヒーかすリサイクルの取組みは、環境面で間違いなくいい影響を与えます。
カフェで出されるコーヒーかすを上手く利用し、各社さんがこのような活動を推進することで、消費者や投資家からの支持を得るだけでなく、持続可能な未来の実現にも貢献できるものと思います。

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